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お風呂でのスマートフォンの安全な使用:防水ケースとジップロックの比較

white bathtub near white ceramic bathtub

近年、スマートフォンは私たちの日常生活に不可欠な存在となり、その利用シーンは多岐にわたります。入浴中も例外ではなく、音楽を聴いたり、動画を視聴したり、メッセージを確認したりする人が増えています。しかし、電子機器であるスマートフォンを水のある環境で使用することには、故障や感電といったリスクが伴います。本稿では、お風呂でスマートフォンを安全に使用するための対策として、専用の防水ケースと、より手軽な代替品として考えられるジップロック袋について、その安全性と有効性を比較検討します。

スマートフォンおよびケースのIP防水等級について

電子機器の防水性能を示す国際規格として、IP(Ingress Protection)等級があります。これは、製品の筐体が固体(粉塵など)や液体(水)の侵入に対してどの程度保護されているかを示すものです。IP等級は2桁の数字で表され、最初の数字は固体に対する保護等級(0〜6)、2番目の数字は液体に対する保護等級(0〜9、または一部で0〜8)を示します。

お風呂での利用を考慮する場合、特に重要なのは2番目の数字、つまり液体に対する保護等級です。以下に、浴室環境に関連する可能性のある等級を示します。

  • IPX4: あらゆる方向からの水の飛沫に対する保護。これは、浴室での一般的な使用において、直接的な水没はないものの、水しぶきがかかる可能性がある状況に適しています。
  • IPX5: あらゆる方向からの噴流水に対する保護(6.3mmノズル)。シャワーヘッドからある程度離れた場所での使用に適しています。
  • IPX6: あらゆる方向からの強力な噴流水に対する保護(12.5mmノズル)。シャワーヘッドに近い場所など、より強い水流にさらされる可能性のある状況に適しています。
  • IPX7: 水深1メートルまでの一時的な水没(30分間)に対する保護。入浴中に誤ってスマートフォンを湯船に落としてしまった場合などを想定した保護等級です。
  • IPX8: 継続的な水中での使用に対する保護(メーカーが指定する深度と時間)。より長時間の水中利用や、深い場所での使用を想定した保護等級です。

市販の防水ケースでは、IP68という高い等級を持つものが一般的です。これは、通常、水深1.5メートルまで30分間の水没に耐える性能を示しますが、製品によってはさらに高い防水性能を持つものもあります。ただし、IP68の示す保護性能の深度と時間はメーカーによって異なる場合があるため、製品ごとの仕様を確認することが重要です。

専用防水スマートフォンケースの特徴と安全性

専用の防水スマートフォンケースは、お風呂でのスマートフォン利用を想定して設計されており、水や蒸気からデバイスを保護するための様々な工夫が凝らされています 。

専用ケースの主な利点としては、信頼性の高い防水性能が挙げられます。適切なIP等級(湯船での使用であればIPX7以上、シャワーでの使用であればIPX4以上が推奨されます)を持つケースを選ぶことで、水没や水しぶきによる故障のリスクを大幅に低減できます。例えば、Pelican Marine Waterproof Floating Phone PouchはIP68の防水性能を備えています。

また、多くの場合、専用ケースは強固なロック機構を備えており、誤ってケースが開いてしまうのを防ぎます。密閉性の高い設計は、水の侵入を効果的に防ぎます。タッチスクリーンの操作性も考慮されており、ケースに入れたままでも通常通りに画面を操作できるものがほとんどです。

素材に関しても、PVC(ポリ塩化ビニル)やTPU(熱可塑性ポリウレタン)、硬質プラスチックなど、水に強く耐久性のある素材が用いられています。中には、落下時の衝撃からスマートフォンを保護する機能を持つものもあります。

専用ケースには様々なタイプがあります。汎用性が高く、多くの機種に対応できるポーチ型、特定の機種に合わせた設計で、より高い保護性能が期待できるハードケース型、浴室の壁面に吸盤などで固定して使用するシャワーマウント型などがあります。シャワーマウント型は、360度回転や角度調整機能、曇り止め機能などを備えているものもあります。ただし、シャワーマウント型は、スマートフォンが水中に落下するリスクを防ぐものではありません。

表1:浴室での使用に適した防水スマートフォンケースの主な特徴

製品名タイプIP等級主な特徴価格帯
Pelican Marine Waterproof Floating Phone Pouchポーチ型IP68浮遊機能、ストラップ付き$25
Nite Ize Waterproof Phone Caseポーチ型IP67ストラップ付き$48
Casetify Bounce ExtremeハードケースIP68耐衝撃性$64
Lamicall Shower Phone Holder Waterproofマウント型IPx6防曇機能$17
JOTO Universal Waterproof Caseポーチ型IPX8ストラップ付き$8
Case-Mate Waterproof Phone Pouchポーチ型IP68浮遊機能$23
Stash 7 Waterproof Phone Pouch with Lanyardポーチ型不明ストラップ付き$37
Kikkerland Shower Proof Phone Caseマウント型不明360度回転、角度調整$12
URROY Shower Phone Holder Waterproofマウント型不明防曇機能、360度回転$14
AquaVault 100% Waterproof Floating Phone Pouchポーチ型不明浮遊機能$35+
Beeasy Waterproof iPhone CaseハードケースIP68全身保護、耐衝撃性$36
LifeProof frē Magsafe Series Waterproof Case for iPhoneハードケースIP68耐衝撃性、MagSafe対応$50
Perfecasa Waterproof Phone Caseポーチ型IP68浮遊機能、タッチ操作可能$30

専用の防水ケースは、信頼性の高い防水性能と様々な便利な機能により、お風呂でのスマートフォン利用において安全で快適な環境を提供します。用途に合わせて適切なIP等級と機能を持つケースを選ぶことが重要です。

ジップロック袋の防水ソリューションとしての評価

ジップロック袋は、手軽に入手できるため、防水ケースの代替品として検討されることがあります。一部のユーザーは、シャワーや入浴中にスマートフォンをジップロック袋に入れて使用し、タッチスクリーン操作も可能だと報告しています。プールでの軽い水中撮影に使用できたという事例もあります。

しかし、多くの情報源は、ジップロック袋の防水性能は一貫しておらず、特に長時間水没したり、圧力がかかったりする状況では漏れる可能性があると指摘しています 。あるYouTubeのテストでは、一晩水に浸した結果、漏れが発生しました。別のテストでも、水が袋の中に浸入したと報告されています。

また、ジップロック袋にスマートフォンを密閉することで、特に温かい環境下では内部に湿気がこもり、デバイスに損傷を与える可能性も懸念されています。袋の中で発生した湿気が腐食の原因となることもあります。さらに、ジップロック袋に入れた状態では、タッチスクリーンの感度が低下したり、音質が損なわれたりする可能性もあります。そして、最も重要な点として、ジップロック袋は落下時の衝撃からスマートフォンを保護する機能は全くありません。

ジップロック袋は一時的な水しぶきを防ぐ程度の効果は期待できるかもしれませんが、水没や長時間の湿気への暴露、落下のリスクを考慮すると、お風呂でのスマートフォンの安全な利用には、信頼性も耐久性も不足していると言わざるを得ません。専用の防水ケースと比較すると、その保護性能には大きな差があります。

スマートフォンメーカーによる浴室での利用に関する警告と推奨事項

多くのスマートフォンメーカーは、自社製品の防水性能について注意喚起を行っています。Appleは、iPhoneの耐水性能は永続的なものではなく、通常の使用によって低下する可能性があると明記しています。また、水泳や入浴、サウナやスチームルームでのiPhoneの使用は避けるように推奨しており、シャワー中の使用についても、水圧によって耐水性能が損なわれる可能性があるとして注意を促しています。液体による損傷は保証の対象外となることも明記されています。

Samsungも、多くのGalaxyスマートフォンがIP67またはIP68の防水等級を持つ一方で、浴室での使用には注意を促しています。高温多湿なサウナやスチームルーム、湿度が高い場所での使用は避けるように推奨しており、規定の深度や時間以上の水没、石鹸水などの不純な水への暴露、強い水圧なども避けるべきとしています。Samsungの標準保証も、通常、水濡れによる損傷は対象外です。

これらのメーカーの警告は、たとえ防水性能を持つスマートフォンであっても、浴室のような特殊な環境下では、その性能が十分に発揮されない可能性があることを示唆しています。蒸気や温度変化、水圧などが、スマートフォンの防水機能を低下させ、故障の原因となることがあります。

専用防水ケースとジップロック袋の比較分析

表2:浴室での使用における専用防水ケースとジップロック袋の比較

特徴専用防水ケースジップロック袋
防水等級(信頼性)高い(適切なIP等級、試験済みの規格)低い、不安定(電子機器保護のための標準化された試験なし)
蒸気に対する保護概して良好(防曇機能を持つものもある、密閉環境を形成するように設計)結露の可能性(内部に湿気がこもり、損傷につながる可能性)
耐久性高い(PVC、TPU、硬質プラスチックなどの丈夫な素材で作られ、多くの場合、ある程度の耐衝撃性を持つ)低い(薄いプラスチック製で、破れや穴が開きやすく、耐衝撃性はない)
タッチスクリーンの機能概して良好(透明な窓を通して操作可能、一部のハードケースには高感度なスクリーンプロテクターが内蔵されている)損なわれる可能性(プラスチックがしわになったり、濡れると画面に張り付いたりする)
使いやすさタイプによる(ポーチ型は一般的に使いやすいが、ハードケース型は取り付け・取り外しに手間がかかる場合がある)概して簡単(スマートフォンを入れて封をするだけ)
耐衝撃性多くの場合あり(特にハードケース型)なし
コスト高い(1回限りの購入で、$10〜$100以上)非常に低い(1枚あたり数円、容易に入手可能)
メーカーの推奨濡れた環境での追加の保護として推奨される場合がある認識された解決策ではない、湿度によるスマートフォンの損傷のリスクから、プラスチック袋に密閉することに警告が出ている可能性
スマートフォンの損傷リスク低い(適切なIP等級を持ち、メーカーの指示に従って使用した場合)中〜高い(防水性能が不安定、湿度による損傷の可能性、耐衝撃性がないため)

結論と推奨事項

お風呂でのスマートフォンの使用は、利便性やエンターテイメント性を提供する一方で、水や蒸気による損傷という無視できないリスクを伴います。特に、近年多くのスマートフォンが謳う防水性能も、浴室のような特殊な環境下では過信すべきではありません。

本稿の分析から、お風呂でスマートフォンを安全に使用するためには、適切なIP等級(湯船での使用にはIPX7以上、シャワーでの使用にはIPX4以上)を持つ専用の防水ケースを利用することが最も推奨される対策と言えます。これらのケースは、信頼性の高い防水性能に加え、耐衝撃性や操作性、防曇機能など、浴室での利用を考慮した様々な機能を提供します。

一方、ジップロック袋は、手軽で安価な代替品として考えられますが、その防水性能や耐久性、安全性は専用ケースと比較して大きく劣ります。漏水のリスクや、内部に湿気がこもる可能性、落下時の保護性能の欠如などを考慮すると、お風呂でのスマートフォンの安全な利用には適しているとは言えません。また、スマートフォンメーカーも、浴室での製品の使用には概して慎重な姿勢を示しており、水濡れによる故障は保証対象外となる場合がほとんどです。

したがって、お風呂でスマートフォンを使用したい場合は、信頼できるメーカーの、適切なIP等級を持つ防水ケースへの投資を強く推奨します。使用前には必ずケースの防水性能を確認し、過度な水没や高温多湿な環境での長時間使用は避けるべきです。また、充電中のスマートフォンを浴室に持ち込むことは、感電のリスクを高めるため絶対に避けてください。安全性を最優先に考え、お風呂でのスマートフォン利用を検討することが重要です。

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